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ハンドメイド作家の設備・道具の減価償却を正しく処理する方法

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減価償却とは

ミシン・カメラ・3Dプリンターなど、比較的高額な道具や設備を購入したとき、その費用を購入年に一度に経費にすることはできない場合があります。これらの設備は複数年にわたって使い続けるため、使用期間(法定耐用年数)に応じて分割して経費計上する仕組みを減価償却といいます。

たとえば耐用年数5年のミシンを15万円で購入した場合、定額法では毎年3万円ずつ5年間経費計上します。

購入金額による取り扱いの違い

購入した道具・設備の金額によって、経費計上のルールが異なります。

取得価格 処理方法 青色申告の特例
10万円未満 全額を購入年に経費計上(消耗品費) 適用なし(全員対象)
10万円〜20万円未満 一括償却資産として3年均等償却 特例で一括計上可(30万円未満特例)
20万円〜30万円未満 一括償却資産または通常の減価償却 特例で一括計上可(30万円未満特例)
30万円以上 法定耐用年数で減価償却 特例なし

10万円未満:全額その年の経費

取得価格(税込または税抜)が10万円未満のものは、購入した年に全額を「消耗品費」として経費計上できます。

例:ハンドミシン8万円 → 購入年に8万円を消耗品費として経費計上

10万円〜30万円未満:青色申告特例で一括計上

青色申告者であれば、30万円未満の減価償却資産を購入年に全額経費計上できる特例があります(少額減価償却資産の特例)。

適用条件:

  • 青色申告をしている個人事業主
  • 1点あたりの取得価格が30万円未満
  • 年間合計300万円まで(合計額の上限)

例:ミシン18万円 → 特例で購入年に18万円を全額経費計上

青色申告をしていない場合は、一括償却資産として3年で均等償却(毎年1/3ずつ経費計上)する方法もあります。

30万円以上:法定耐用年数で減価償却

取得価格が30万円以上の設備・機材は、法定耐用年数に基づいて毎年分割して経費計上します。

ハンドメイド作家がよく使う道具の耐用年数

法定耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められています。主な道具の耐用年数を確認しておきましょう。

道具・設備 耐用年数 分類
ミシン(職業用・工業用) 7年 機械及び装置
ミシン(家庭用) 5年 器具及び備品
カメラ 5年 器具及び備品
3Dプリンター 5年 器具及び備品
レーザーカッター 7年 機械及び装置
パソコン 4年 器具及び備品
スマートフォン 4年 器具及び備品
照明機材(撮影用) 5年 器具及び備品
棚・収納(木製) 8年 器具及び備品
作業台(金属製) 15年 器具及び備品

※耐用年数は用途・材質によって異なる場合があります。不明な場合は税務署または税理士に確認してください。

減価償却の計算方法

定額法(個人事業主はこちらが基本)

毎年同じ金額を経費計上する方法です。個人事業主は原則として定額法を使います。

年間の減価償却費 = 取得価格 × (1 ÷ 耐用年数)

例:業務用ミシン35万円・耐用年数7年の場合

35万円 × (1 ÷ 7年) ≒ 5万円/年
7年間、毎年5万円を経費計上

業務割合で按分(プライベートとの兼用の場合)

趣味と仕事の両方にミシンを使っている場合は、業務使用割合で按分します。

経費計上額 = 減価償却費 × 業務使用割合

例:ミシン(年5万円の償却費)・業務70%使用の場合

5万円 × 70% = 3.5万円/年を経費計上

減価償却資産を管理する方法

複数の道具・設備を所有している場合、それぞれの償却状況を管理する「固定資産台帳」を作成します。

固定資産台帳の記録項目:

項目
取得年月日 2024年3月10日
名称 職業用ミシン〇〇モデル
取得価格 350,000円
耐用年数 7年
年間償却費 50,000円
業務使用割合 80%
業務分償却費 40,000円

freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトには固定資産台帳の機能が内蔵されており、取得価格・耐用年数を入力するだけで自動的に減価償却費を計算してくれます。

中古品を購入した場合の耐用年数

フリマサイトやネットオークションで中古のミシンや機材を購入した場合、残存耐用年数が短くなります。

中古品の耐用年数の計算式:

中古耐用年数 = (法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 0.2
(2年未満の場合は2年)

例:新品から3年経過したカメラ(法定耐用年数5年)を購入

(5年 - 3年) + 3年 × 0.2 = 2年 + 0.6年 ≒ 2年

2年で全額経費計上できるため、高額な中古品でも短期間で償却できます。

まとめ

ハンドメイド作家の道具・設備の経費処理は、取得価格によってルールが変わります。10万円未満はその年に全額経費、10〜30万円は青色申告特例で一括計上、30万円以上は法定耐用年数で分割償却が基本です。freeeやマネーフォワードの固定資産台帳機能を活用すれば、複雑な計算も自動で行えます。高額な設備を購入した年は積極的に減価償却特例を活用して節税しましょう。